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ゆるキャラ刑事

ムサッシー!

Act

 

 

吉祥寺の夜。

昔で言えば近鉄裏。今はヨドバシカメラ裏。

 

ここは怪しげな大人の街。

吉祥寺駅北口ガード横、ホテルニューヨークまでの道にウロウロする客引きたち。

今夜もそこでは性欲にまみれた大人たちが蠢いていた。

「社長、どこ行くの?いいとこあるよ」

「社長じゃない!係長だ!何だよいいとこって?」

「係長!そこのセクキャバなんだけど、60300円」

「60300円?なんでそんな安いんだ?どうせ80歳くらいの婆さんばっかりだろ!」

「そんなことないですよ、かわいい子がいっぱい、まあ騙されたと思って、60300円ですよ、タバコより安いんだから、でね、気に入ったら延長してもらえばいいですから」

なんて言われてセクキャバに入って行く50前後のいかにもスケベ面の係長。

 

その2時間後、その客引きとスケベ面のおじさんが時間貸し駐車場前でもみ合っていた。

遠巻きに眺める酔客と客引きたち。

パトロール中のムサッシーがそこへやってきた。

「どうしたサッシー?」

ネオンサインの光の中で頭傾けるムサッシーの姿は不釣り合いなだけに不気味でもあり可愛くもあり、不思議な光景。

でも、何となく心が和む。

客引きはすぐにムサッシーに助けを求めた。

「聞いてよムサッシー、このお客さんが、騙された!金返せ!って怒ってるんですよ」

「当たり前じゃないか!あんな店!返せ700円!」

ムサッシーは開きっぱなしのつぶらな瞳でスケベ面の係長に顔を近づけた。

「騙されたサッシー?でも、この店は60300円サッシー。なんで700円サッシー?つまり一回延長して、店の子に1杯飲ませたサッシー?」

係長「うっ!」となったが、ここで負けたら700円取り戻せないから必死に抵抗。

「なんだよお前は!なんでここにゆるキャラが居るんだよ!ゆるキャラには関係無いんだ!警察呼べ警察!」

「僕はゆるキャラ刑事ムサッシー!武蔵野市の治安を守っているサッシー!お客さん延長したって事は楽しんだってことサッシー?2時間楽しく過ごせたんだから良かったサッシー。この客引きは何も騙してないサッシー」

係長急に弱気になって。

「き・・・聞いてくれよ旦那、そりゃ楽しんだけどさ、店の女全員サルだったんだぜ?人間じゃ無いんだよ」

「当たり前サッシー!店の看板見るサッシー」

そう言われてスケベ面の係長、見上げた。

セクキャバ・モンキー

「ここは吉祥寺でも有名なおサルさんばかりのお店だサッシー!吉祥寺で飲み歩く人なら誰でも知ってるサッシー!お客さん武蔵野市の人間じゃないサッシー?」

「た・・・立川だ」

「ゲヒョゲヒョゲヒョ、田舎者サッシー!」

遠巻きに見ていた客引きと酔客も笑った。

「ハハハハハハ、田舎者〜!」

スケベ面の係長は無い尻尾を巻いて退散した。

ビルの入口で心配そうに見ていたおサルさんたちもニッコリしてムサッシーに手を振った。

今夜も武蔵野市の平和を守ったムサッシーであった!

 

つづく・・・かも

 

 

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