土佐カンパニーのベランダで身体を横たえていたのは黒猫のクロ
毎日美味しい物ばかり食べているので、最近少々太り気味
しかし、野良猫として生活していた時に比べると、ここは天国である
血で血を洗うような70年間の生活は忘れようとしても忘れられない・・・
今でも夢に見て、汗ビッショリで目覚めることもある
あんな生活はもうごめんだ
しかし、戦いの決着がついた今、のんびり過ごせる余生は素晴らしい

大きく欠伸した時、殺気を感じた
あわてて部屋の中に戻ろうとしたが、思いのほか身体が重かった
空気を切り裂く音がして、左頬に痛みを感じた時には部屋の床に叩きつけられていた

「誰だにゃ?」

痛みにこらえながらあたりを伺う、日が沈みかけている部屋に明かりは付いていないので、頼りになるのは隣のビルの明かりだけ

「太りすぎじゃにゃいの」

目をこらして見ると、ベランダの柵に白猫のシロがいた

「シロ!生きていたにょか!?」
「ええ、生きているわ、おヨネさんというお婆さんに助けられたのにゃ」
「そうか!良かった!お前が生きていて嬉しいにゃ」
「心にも無いこと言わにゃいで!お婆さんに助けられていなければ、あたしは死んでいたわ・・・あたしの身体に何度も爪を立てたのは、あなたよ」
「そ・・・そりゃ、仕方にゃいさ・・・やらなければ俺が死んでいたからにゃ・・・しかし、殺すつもりは無かったにゃ・・・良かった、これからも仲良くやろうぜ」
優しく微笑むクロ、この笑顔に何度騙されたことだろう
何度浮気しても、いつもこの笑顔で騙された、しかしもう二度と騙されない

「あんた、魔法使ったでしょ?」
「ああ・・・気づいていたのかにゃ・・・それがどうしたにゃ?」
「まあ、そのことをどうこう言うわけじゃにゃいの、しかしあんたが魔法を使ったおかげで、あたしの命の恩人おヨネ婆さん・・・いや、楽園ホームのみんなが困っているの」
「そうか、でもそれは俺のせいじゃないにゃ」
「分かってるわよ、あんたが魔法をかけた相手のせいで困っているにょよ」

「何を言いたいんだ?」
「その男にかけた魔法を解いて欲しいの、それがあたしのお願いにゃ」
「ふ〜ん・・・それは困ったにゃ・・・その男のおかげで俺はこうしてのんびり暮らしていけるんだからにゃ・・・」
「あたしのお願いを聞いてくれたら、楽園ホームで暮らせるようにしてあげるわよ」
「ふん!あんないつ潰れるか分からないような老人ホームで暮らしたくはにゃいにゃ!どうせ食べ残しのご飯に味噌汁かけたような食事しか食わせてくれにゃいだろう?」
「美味しいわよ、ネコご飯」

睨みあうシロとクロ
「あたしのお願い聞いてくれにゃいのなら、仕方にゃいわ・・・」
構えるシロ
クロも尻尾を伸ばして戦闘態勢
「フ〜〜〜〜〜〜〜〜ッ」
「グルルルルルルルル〜〜〜〜〜〜ッ」
うなり合う二匹

飛びかかろうとした時
ドアの開けるカギの音がした
固まる二匹
ドアが開き、入って来たのは高知金五郎爺さん
楽しそうに鼻歌を歌いながら部屋の明かりを付けた
「おや、クロ、何やってるんじゃ?」
ドアが開く寸前、シロはベランダから飛び降りて逃げていた

「さて、今日も魔法をかけてくれ」
「また、いつものスナックに行くのかにゃ?」
「当たり前じゃ、それが今のワシの一番の楽しみじゃからな、クロのおかげで金貸しも成功したから、金がガッポガッポあるんじゃ、使わないともったいないじゃろ」
「そりゃそうだにゃ」
クロは高知金五郎に魔法をかけた、85歳の爺さんが光に包まれ、あっと言うまに30歳の青年に変身した
「おおお〜〜〜!若さが身体にみなぎってくる!それじゃ行ってくるぞ!」
「変身時間は3時間だからにゃ」
「分かっとるわい!」
若返った高知金五郎、いや、今は長宗我部社長、彼は意気揚々とスナックに出かけて行った
見送るクロ
窓の外を眺めて
顔をゆがめた

・・・あいつ、生きていたとはにゃ、しくじったにゃ・・・


つづく


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