一定期間更新がないため広告を表示しています

  • -
  • -
  • -
  • by スポンサードリンク

 西に向かう一同
夕焼けを追いかけるように西に向かって走る
運転しているのはウサギ探偵
助手席のモンローも、後部座席のポコポコ王女マナ王女カーバー王子の幽霊も・・・
みんな睡眠中

「ったく〜〜、なんで俺ひとりが運転手なんだよ〜さすがに疲れるぜ・・・そうだ!一杯飲めば眠気も取れて元気になるかもしれないな、対向車も通らないし、こんな道だったら交通事故なんか起こさないだろう」

ウサギ探偵はバーボンのボトルからグイグイ飲んだ
「ぐは〜〜〜〜!沁みるぜ〜〜」
ラジオのスイッチ入れた
スピーカーから流れてきたのは斉藤和義の「やさしくなりたい」

「いい曲だなぁ〜〜〜斉藤和義いいぞ〜〜〜!」

ラジオに合わせて歌いながらバーボン飲んで調子に乗っていたら事故った・・・
みなさん飲酒運転は止めましょう

車は道路から外れて谷底に落ちてしまった
ウサギ探偵はそのまま気絶
逆さになってひしゃげた車体からモンローが這いずって出てきて、王女二人を車外に助け出した
幽霊のカーバー王子の姿は見えない
ウサギ探偵はひっくり返ったまま気絶

「どうしたの一体?なんであたしたちこんなとこに居るの?」
「ウサギの運転ミスね、きっと」
「あらいやだ、ウサギさんお酒の瓶抱えてる」
「酒飲み運転かよ、最低の奴だな、このままほっておきましょ!」
「そういうわけにもいかないでしょう」
「そうね、ウサギさん一人じゃ可哀そうですわ」
「どうでもいいけど、いま何時?」
「2時過ぎね」
「まだ深夜ですわね・・・眠たいわ・・・」
「寝よ寝よ、とりあえず寝て、起きたらどうするか考えましょう」

ポコポコ王女とマナは岩の上に横になって寝てしまいました
モンローはとりあえず枝を拾い集めてきて焚火を起こしました

やがて、朝日がみんなを照らし出しました
焚火の前で座ったまま寝ていたモンローが、物音に気づいて目を覚ますと
一同の周りをハイエナ達が取り囲んでいました

「お前たちはここで何をしている?」

ハイエナの中でも黒くひときわ大きい体格で顔中ツギハギだらけの男が、大塚明夫みたいな声で言いました
モンローハッとして
「ハイエナのジャック・・・!」

「ほう・・・俺のことを知っているのか?・・・お前の名前は?」
「モンローと言います・・・しがない娼婦です・・・」
モンロー恥ずかしそうに言いました
「岩の上で寝ているのは・・・もしかしてポコポコ王女ではないのか?」
「はい、そうです・・・隣で寝ているのはカバー王国のマナ王女です」

「ふ〜〜ん・・・豪華な獲物だな・・・」
ハイエナのジャック後ろを振り返り
「こいつらをアジトに連れて行くぞ!」と部下たちに命令しました

しかし、逆さになった車の中で気絶していたウサギ探偵だけは見つからず置き去りにされました

寝てる間に、ハイエナのアジトに連れて行かれた王女二人、目が覚めてびっくり!

「ここはどこ〜〜〜〜〜?また牢屋???」


つづく





「タイムマシン」はショートショートで書き始めたので・・・行きあたりばったりで続けているうちに迷路にはまりこんでしまいました、そんなわけで、新たに「新タイムマシン」として「自由への長い旅」を書き始めます、今度はちゃんと考えて書きます!(笑)


自由への長い旅 序章

物語は2012年から始まる
主人公の俺は59歳、来年は還暦だ
仕事はエロ漫画誌の挿絵やエロ漫画を描いたり、昔の知り合いから暴露雑誌のカット描きの仕事をもらったり、たまに子供向けの自伝などの漫画を頼まれたりするが、これはページ数も多く、とても美味しい仕事だ・・・しかし、そんな仕事は滅多に無い・・・

40代までは二流雑誌だったが青年誌に描いていた
20代から漫画家になり、一時は連載三本も抱える人気漫画家だったこともある
アシスタントの女の子と結婚し、子供も生まれ幸せな時期もあったが、連載が減って行くと、妻も去り「先生!今度うちの本にも連載お願いしますよ」と言っていた編集者もスタジオに顔を出さなくなり・・・いつのまにかアシスタントも居なくなり、仕事も無くなってしまった・・・

漫画の世界も日々進歩しているが、そのスピードに着いて行けなくなったベテランの生きる場所は、皆無だ・・・

そんなわけで、朝からパチンコ屋に並ぶ日が多くなったが、そうそう儲かるわけでもなく・・・新聞配達のバイトもしたが、前夜飲み過ぎて遅刻してしまい、首になった・・・

そんな悲惨な日々を送る俺の唯一の楽しみが
自宅近くのスナックに通うことだ
その店に、由香と言う源氏名の娘が居た

「先生、漫画家なんですってね、すごいわ!どの本に載っているんですか?ジャンプ?マガジン?」
先生と言ってくれるのは、今じゃこの店の女の子だけだ
「ジャンプにもね、描いてくれって頼まれるんだけどさ、断ってるんだ、今はライフワークとして人類と神についての長編を描く準備をしているんだよ」
「人類と神?なんだかテーマが大きいですね、なんか楽しみ!出来たら見せてくださいね!」
「もちろん、由香ちゃんに一番最初に見せるよ」
もちろん口から出まかせだ

「嬉しい!先生何か歌います?」
「う〜〜〜ん、そうだな・・・じゃ岡林の(自由への長い旅)を入れてくれるかな」
「じゃあ、由香も一緒に歌うね」


いつのまにかわたしが
わたしでないような
枯葉が風に舞うように
小舟が漂うように
わたしになるために
育ててくれた世界に
別れを告げて旅立つ

信じたいために疑い続ける
自由への長い旅をひとり
自由への長い旅を今日も



彼女とふたりで歌っているこの時が、俺にとって一番幸せな瞬間だ

俺はある時、思い切って誘ってみた
「お店が終わった後、二人だけで飲みに行かないか?」
「ごめんなさい、アフターはひとりで行っちゃいけないの、誰かとふたりならOKなんだけど」
「じゃあ、休日にデートするってのは?」
「休日はお母さんと買い物に行く予定なの・・」

そりゃそうだよなぁ・・・と俺は思った
彼女の父親は52歳だと言う
俺よりずっと年下だ
こんな還暦まじかのおじさんとデートなんかしたって面白くないだろう・・・

いつも思っていることだけど・・・人生ってつまらない・・・人生って味気ない・・・幸せって何だろう・・・俺は落ち込みやすい性格だった・・・

そんな時
高校時代の友人から電話が来た
友人は高校から大学へ進み、今も大学の研究室に残って、研究三昧の日々を送っている、
俺の友人には珍しい勉強家だ

研究室に行くと部屋の真ん中にスバル360が置いてあった

「山田!やったぜ!」
山田と言うのが、俺の名前だ
「何をやったんだ?」
「この車は、実はタイムマシンなんだ!」
「タイムマシン?ってことは未来でも過去でも行けるのか?バック・ツゥザ・フューチャーってことか?」
「そのとおりだ!」
「それがホントならすごいなお前!ノーベル賞もらえるぞ!」
「ノーベル賞どころじゃないぞ!これを売り出せば、俺は大金持ちだ!」

「実験したのか?」
「いや・・・それがまだなんだ・・・研究室の誰も、これに乗りたがらない、失敗したら戻ってこられないんだからな・・・そりゃ乗りたくないよな」
「自分で試してみればいいじゃないか?」
「うん・・・そう思ったんだけどさ・・・妻が反対するんだ・・・」
友人は去年12歳下のキャビンアテンダントの女と結婚したばかりだ、俺がこんなに不幸なのに、なんて幸せな奴だ、ムカつく・・・

その時、ひとつの考えが浮かんだ!

「俺がやってやるよ、実験!」
「ホントか!?」
「ああ、俺は昔からタイムマシンに乗るのが夢だったんだ」
「山田なら、そう言ってくれると思っていたよ」
・・・なんだ、こいつ、そのつもりで俺を呼んだのだな・・・
またムカついた、こいつの鼻を明かしてやる!

翌日、研究室のみんなが集まり、実験を始めることになった
まず、テストとして一時間後の未来に行くことになったが
俺は素直に言うことを聞くふりをして、気付かれないようにタイムトラベルの目標時間を2001年にした

実験開始
俺の乗ったスバル360はタイムトラベルした

到着したのは2001年の東京
旅客機がニューヨーク世界貿易センタービルに衝突したと、世界中が大騒ぎしていた9月11日だ
タイムトラベルは大成功

俺の目的はこの世界で、15歳の由香を探して拉致することだ・・・


つづく









 ・・・朝帰りは身体に答える・・・
飲み会がつづきブログの更新もままならぬ・・・

さて・・・
ポコポコ王女とマナ王女、そしてモンローを連れたウサギ探偵は城下町の門を目指した
王女二人はもちろんゾウとブタの着ぐるみに偽の外出許可証
ウサギ探偵とモンローは夫婦と言うことにして、王女二人は隣町まで買い物と言う理由

門に着いて、ウサギ探偵とモンローは無事に通過できたが、着ぐるみに慣れていないマナ王女は手前で転んでしまった
必死に両手で頭の部分を押さえて、脱げ無かったのだが、転んだ拍子に反転してしまった
そのまま立ちあがり

「ああああ〜〜〜急に夜になったんですかぁ〜〜〜真っ暗で何にも見えませ〜〜〜ん」
ブタの女の顔が真後ろ向いてフラフラしてるから、門兵びっくり!
ゾウの着ぐるみのポコポコ王女があわててブタの顔を回転させたが、力を入れ過ぎたせいで、そのままくるくる回してしまった

「あああああああ〜〜〜なんか目が回りますぅぅぅぅ〜〜〜」
マナ王女フラフラ

「怪しい奴!」
門兵、銃を構えた

先に門から出て行ったウサギ探偵どうすることもできない
ポコポコ王女はあわててブタの顔を止めようとして引っこ抜いてしまった

門兵は女の首が抜けたと思って腰抜かした拍子に発砲
今のうちに門の外に!と思ったところに銃音を聞きつけた兵隊たちが駆けこんできて、王女二人を取り囲んだ

万事急須!いや
万事休す!

もうダメかと諦めた時
突然兵隊たちが空中に浮き上がりぐるぐる回り出した
「あああああああああああううううううううううううおおおおおおおおお〜〜〜〜〜?」
叫ぶ兵隊たちそのまま飛ばされて壁にぶつかって気絶

「あれ???」

キョトンとなる王女二人の前にカーバー王子の幽霊が現れた!
「さあ!今のうちに逃げるんだ!」
着ぐるみを捨てて逃げる二人

途中のガソリンスタンドで車を盗んで逃げた

「お兄様!どうして!?」
カーバー王子の幽霊は後部座席の真ん中に座っている
両側はポコポコ王女とマナだ
「今度は3週間の休暇届けを出したんだ」
「まあ!じゃあ、しばらく一緒にいられるんですね〜マナ嬉しい〜」
マナはカーバー王子に抱きつこうとしてひっくり返った

ポコポコ王女はちょっと鼻白んだ様子で
「なんか都合よく現れすぎよね・・・感動が薄れるわ・・・」
「ポコポコ王女、そう言わないでくれよ、あっちの世界はけっこう退屈なんだ、やっぱりこっちの世界のほうが楽しいんだよ、ポコポコ王女もいるしマナもいるし」
「ふん・・・」
ポコポコ王女は鼻で笑った
あんなに感動するんじゃなかったと少しばかり後悔していた

「モンローさん、あんたはどこまで行くの?」
キツイ感じで助手席のモンローに声をかけた
モンローは笑顔を浮かべながら後ろを振り返った
「私は隣町で商売を続けます・・・爆破事件のせいで、ポコポコ王国での仕事がやりづらくなったもんですから・・・」
「爆破事件のせいって・・・あんたがやったことじゃないのよ!ふん!自業自得ね!ホントだったら死刑よ死刑!八丈島のきょん!」

幽霊のカーバーが笑った
「ハハハ、ポコポコ王女は面白いな」
「うるさいカバ!」
カーバー王子に右ストレートをお見舞いしようとしたらマナに命中
「ぶげぐげぼっ!」
マナ気絶
「あ〜〜〜〜〜〜!マナ御免なさい〜〜〜!」
運転しているウサギ探偵あわてて
「大丈夫ですか?マナさんに道案内してもらわないと道が分からないんですよ」
マナ鼻血出して気絶したまま
「どこまで行くんですか?」
「マナさんの別荘に行くんです」
「それなら、僕が知ってます、このまままっすぐ行ってください」
「はい!」

四人+幽霊を乗せた車は一路西に向かった


つづく


 モンローを捕まえて部屋に連れてきた
どうやって捕まえたか?
そりゃ、ウサギ探偵も伊達に探偵稼業をやっているわけじゃありません
何をかくそう、ピョンピョン流合気道五段、ピョンピョン流柔術三段、ピョンピョン流空手道八段の持ち主なんです

しかし、いつもは敢えて戦いはしないようにしています
逃げるが勝ち!これは桂小五郎から教わった生きる術である

まあ、そんなことはどうでもいいけど

とりあえずモンローを部屋に連れてきた
もちろん尋問するためである

しかし、部屋にポコポコ王女とマナの姿が無い
あんなに外に出ないようにと釘を刺したのに!
両手両足を縛って猿ぐつわをしたモンローを部屋に残し、ウサギ探偵は外に出た
あの二人が行きそうなところは?
検討がつかない・・・

仕方なく、とりあえずBARに行ってみた
もう雨はやんでいる

BARに入るとブタの着ぐるみのポコポコ王女とゾウの着ぐるみのマナがシカのチャライ男に口説かれていた
「君たちどこから来たの?可愛いね二人とも、俺が奢ってあげるよ、どんどん飲みなさい」
「あたしジンフィズ」
「私はカルーアミルクがいいかしら」
「マスター、ジンフィズとカルーアミルク、こちらのお嬢さん方に!」
ウサギ探偵はドアを開けてため息をついた
二人に近づいて「帰りますよ」と声をかけた

シカのチャラ男が「何だお前?この二人は俺と飲んでるんだ、邪魔するな!」と突っかかって来た
「申し訳ないけど、この二人は俺の知り合いなんだ、もう遅いから家に帰らないといけないんだよ」
「あら、あたし、こんな薄汚いウサギなんか知りませんわ」
結構飲んでいるらしいブタの着ぐるみのポコポコ王女は呂律が回っていなかった
「外に出たらダメだって言ったでしょ」
腕を掴んで立たせようとしたが、振り払って
「止めてください、変なおじさん!」
「ほら!この子だって嫌がってるだろう!引っこんでろウサギ!」
力づくで二人を連れ帰ることも出来たが、その拍子に着ぐるみが外れたら大変なことになる

ウサギ探偵は仕方なくカウンターで一人飲むことにした
「まいったな・・・」
マスターが黙ってジム・ビームのグラスを置いていった

三人は酒を何杯もお代りして飲んでいた
こんなに酒飲みだとは思わなかった
その間、ウサギ探偵は一人黙ってカウンターに居た
七杯目を飲み干した時
シカの悲鳴が聞こえた「ぎゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」
あわてて見ると、着ぐるみ脱いだマナがシカのお尻に噛みついていた
「美味しそうなシカだな〜〜〜グガガガガガガガ〜〜〜〜〜!」

ウサギ探偵あわててシカに噛みついたマナを無理やり放し、ゾウの頭被せて
飲んで寝ているポコポコ王女を抱きかかえ、二人を外に連れ出した
店内ではシカのチャラ男がまだ叫んでいる
マナの口を見るとクチャクチャ咀嚼している
少しばかり肉を噛みちぎったらしい
不幸なシカだ・・・

マナの顔があまり知られていないのが不幸中の幸いだった
ポコポコ王女だったら大変なことになっていた

部屋に戻ると、モンローが座って酒を飲んでいた

「おかえりなさい、あらあら・・・何その二人、完全にグロッキーじゃないの」

ウサギ探偵は二人をそのまま床に転がした
二人とも鼾をかいて熟睡

「モンロー、よく縄を外せたな」
「あんなの、縛ったうちに入らないわよ、縛るなら海老責めとか亀甲縛りじゃないと、すぐ外れるわ」
「お前のいつものプレイか、それは?」
「やってみる?楽しいわよ」
「やめとくよ・・・俺にも一杯くれ」
モンローはふちの欠けた湯のみ茶碗にワインを注いだ
「ワインなんか俺の部屋にあったか?」
「買ってきたのよ、ボルドーの白」
「出たのか、外に?・・・なんで逃げなかった?」
「どうせ、また見つかるでしょ、だから待っていてあげたの」
「ふ〜ん・・・」

「聞いたわよ、お城からポコポコ王女とマナ王女が脱走した話し・・・あなた、この二人どうするつもり?」
「さすが地獄耳だな・・・城下町から逃がすつもりさ」
「じゃ、あたしも一緒に行くわ」
「・・・何か魂胆がありそうだな・・・」
「フフフ・・・」

二人の鼾がハーモニーのように部屋中に響いた


つづく










 ウサギ探偵はBARのマスターに協力してもらうことにした
もちろん、ポコポコ王女とマナの二人を城下町から脱走させるためである
もしかしたら、また社会革命党の連中に襲われるかもしれないので、横道を通りながらあたりを伺い、尾行にも気を付けながら、BARまで行った

ウサギ探偵のの姿を見たマスターは何気なく眉を上げた、彼なりの驚いた表情なのだろう
「久しぶりだね、いつものかい?」
「ああ・・・」
マスターはジム・ビームをグラスに半分ほど注いで俺の前に置いた
狭い店内にはいつも見慣れた連中しか居なかった

「元気そうじゃないか」
「まあね・・・あれ以来、俺を探しに来る奴はいないか?」
「今のところね」
「そうか、それならいいや」
俺はジム・ビームをゆっくりと味わうように飲んだ

「モンローは最近来てるかい?」
「モンロー?・・・そう言えば、見ないな、用があるのかい?」
「いや・・・用があるのはマスターだ・・・聞いてくれるかい?」
「・・・あんたの頼みは、あんまり聞きたくは無いな・・・」
「おいおい、それが親友に対する態度かよ?」
「親友?・・・いつから?」
俺は舌打ちしながらも、ニヤッと笑って
「親友じゃないのなら・・・俺は気兼ねなくあんたを売ることが出来るってことか・・・」

マスターの目が冷たく光った
彼にどんな過去があるのかは知らないが、平凡な人生を送ってきた人間の目じゃないのは分かる・・・
どんな修羅場をくぐって来たのかは・・・聞かないほうがいいだろう・・・

「マスターが密入国者ってことを、警察に言ったら・・・どうなるかな・・・」
ボソッと独り言のように呟いた
マスターが大きな口を広げて笑った
「ガハハハ・・・あんたも人が悪いな・・・親友の言うことは聞かないとな、それで、どんな話しだい?」
急に愛想が良くなった・・・でも、目は笑ってない・・・

「実は、俺の部屋にポコポコ王女とカバー王国のマナ王女が居るんだ」
キョトンとするヒツジのマスター
「そりゃどこのデリヘルの子だ?」
「違うよ、デリヘルじゃない、ホントの王女が二人、うちに居るんだ、その二人を城下町から連れ出したいんだが、外出許可証が必要なんだ」
「王女だったら、勝手に出られるだろ?」
「王女って気付かれないように出たいんだよ、だから頼んでいるんじゃないか・・・」
「つまり、外出許可証を偽造したいってことか?」
「その通り、さすがマスター、あんたなら誰か知り合いが居るだろ」
「分かった、高いぜ」
「金なら心配ない・・・王女二人だからな、金は溢れるほど持ってる」
「なるほど・・・」

三杯目のジム・ビームを飲み干すと、俺は外に出た
いつの間にか、雨が降っている
コートの襟を立て雨の中を歩いていると
なんか、探偵の仕事してるって気がしてきた
今までは、浮気調査とか夫婦喧嘩の仲裁とかそんなつまんない仕事ばかりだったからな・・・

ちょっと嬉しくて歌いたい気分だ
ジーン・ケリーになったつもりでタップダンスしながら歌った

雨にぬれて
歌を歌えば
心の中は
すっきりんこ〜〜〜♪

すると、ビルのドアを開けてモンローが出てきた
「あっ!」
俺に気付いて逃げだした
俺はもちろん追いかけた
逃がしてたまるか!
追いかけながら
探偵っぽいことしているなぁと、嬉しくなった

足取り軽く
モンロー追いかける〜〜〜♪


つづく








 ポコポコ王女は相変わらず幽閉されていた

マナが必死にカバー国王やポコポコ王様に言ってくれたのだが・・・
「お兄様の幽霊が現れたんです、死んだのは自分の責任で、ポコポコ王女の責任じゃないから、王女を許してくれって言ったんです」
しかし、みんなマナの言うことを聞いてくれませんでした

「マナ、それは夢を見たんだ!」
「幽霊が出てきてそんなこと言うわけ無いだろ」
「幽霊なんて存在しない!」

三谷幸喜監督の「ステキな金縛り」を見ていないけど、映画もこんな感じなのかな?

そんなわけで、せっかくカーバー王子が外出許可までもらってやってきたのに、何の役にも立ちませんでした

カバー国王はポコポコ王女の裁判を自国でやりたいと強硬に主張しました
しかし、ポコポコ国王としては「はい、どうぞ」と言うわけにはいきません
硬直状態が続き、解決方法は戦争か?という緊迫した時
ポコポコ王女がマナの手引きで脱走しました!

城下町から逃げ出すのは一筋縄ではいかないので
とりあえず、ウサギ探偵の部屋に隠れました

「王女・・・まさか脱走してくるとは思いませんでしたよ・・・まいったな・・・突然来ないでくださいよ、俺だってプライバシーってのがあるんだから・・・」
ウサギ探偵ボヤきます

マナとポコポコ王女が部屋に来た時、ウサギ探偵はハリネズミのコールガールを部屋に連れ込んでイチャついてる真っ最中でした
「うるさいわね!あたしの上げたお金でコールガールなんか買って!汚らわしいウサギね!」
マナもホントに嫌そうな表情で
「ホントですわ、あ〜〜〜汚らわしい汚らわしい、あんたケダモノよ!」
「まあ、ケダモノは間違いないですがね・・・でも、これからどうするんですか?いつまでも俺の所には居られませんよ?」
「分かってるわよ!しかしね、もとわと言えば、あんたがモンローなんていう女をお城に連れてきたのがいけないのよ!あんなことなけりゃ、カバと二人で湖に行くことも無かったんだから!あんたのせいよ!」
「確かに・・・俺のせいですね・・・そりゃ申し訳ないと思ってます・・・しかし、これからどうするつもりですか?」

王女とマナは顔を見合わせた
「まず、城下町から逃げないとね・・・」
「私の別荘があります、とりあえずそこまで行こうと思います」
「城下町の門を通るのが一番大変ですねえ・・・どうしたもんかな・・・」
「いいわ、考えといて、あたしは疲れたから寝るわ」
ポコポコ王女はそう言ってウサギ探偵のベッドに横になり、すぐに鼾をかきだした

マナもソファに深々と座った
「マナさん、一杯行きますか?」
ウサギ探偵は戸棚からバーボンを取りだした
「そうね・・・少しだけいただこうかしら・・・」
「疲れた時にはこれをグイッと行くとすぐに寝られるんですよ」
そう言いながらふたつのグラスにバーボンを注いだ

「しかし、どうやって脱走したんですか?」
マナはバーボン飲みながら
「鍵を盗んだんですの、あとはポコポコ王女が持っていた、ゾウとブタの着ぐるみを被って出てきたんですの、簡単でしたわ」
「なるほどね・・・」
空になったマナのグラス見て
「もう一杯行きますか」
マナは何も言わずグラスを突き出した

「だって・・・お父様もお母様も、私の言うこと信じてくれないんですもの・・・せっかくお兄様が幽霊になってまで私たちの前に現れたっていうのに・・・もう、頭に来ちゃう・・・」
注がれたバーボンを一気に飲んで、ウサギ探偵の前にグラスを突き出した
探偵、目を丸くしながら「大丈夫ですか?」

「あんなステキなお兄様が居なくなってしまうなんて・・・私信じられない・・・こんな悲しいことってないわ・・・そうでしょウサギさん?」
マナのグラスにバーボン注ぎながら「は・・・はい、そうですね・・・」
注がれたグラスをまた一気に飲み干して突き出した
「ホントにそう思ってるの?怪しいわね?ホントにそう思っているのなら

ホントです!ホントです!ホントです!

って十回言って!」
「マナさん、そんなに大声出さないでくださいよ、ここはアパートですからね、お城じゃないんですよ、隣に聞こえてしまいます!」

「なんだって?」

目がすっかり座っていた
ジーッとウサギ探偵を見つめた、まるで黒ヒョウのように・・・
「ちょっ・・・ちょっとマナさん、どうしたんですか?」
「・・・フフフ・・・美味しそうなウサギだな・・・」
舌舐めずり始めた
「やッ止めてくださいよ、マナさん・・・」

「グガ〜〜〜〜ッ」

マナがウサギ探偵に飛びかかった
「ギャ〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!」
お尻に噛みつかれたウサギ探偵必死に逃げようとするが歯が尻に食い込んで逃げられない
隣の住人が壁を叩いた
「うるさいぞ!」
ポコポコ王女が目を覚まして、ふたりの姿を見た
「新しいプレイ?・・・」
そう言ってまた寝てしまった

「ウガガガガガガ・・・・ガ・・・ガ・・・

マナも唸りながら寝てしまった
ウサギ探偵は慎重にお尻に食い込んだ歯を抜いてバンドエイドを貼った

「ふぅ・・・ポコポコ王女一人だけでも大変なのに・・・まいったな・・・」


つづく






 ポコポコ王女の寝室が爆発した音は城下にも轟いた
ウサギ探偵はいつものBARのカウンターで突っ伏して寝ている時、その音で目を覚ました
あわてて外に飛び出して、丘の上のお城を見上げた
ポコポコ王女の寝室あたりから黒々と煙が上がっている

ウサギ探偵は「モンローの仕業だ!」
すぐにそう思った

ポコポコ王女のところに行った後
ウサギ探偵と白猫のモンローはふたりで喫茶店に入り、モーニングセットを頼んだ

「ねえ、どうして王女様はトラのジョーのことを気にしているの?」
ウサギ探偵はあわててコーヒーを吹き出しそうになった
「ななな・・・なんで、トラのジョーのこと知ってるんだ?」
「嫌だ、さっき王女様の寝室で話してたじゃない」
「そうか・・・そうだったな・・・どうしてトラのジョーのこと探るのか、俺も知らないさ、金さえもらえればいいんだ俺は・・・」
コーヒーをすする
ウサギ探偵は大きな前歯が二本出ているので、コーヒーが飲みづらいみたい・・・

「トラのジョーに惚れてるんじゃないの?王女様」
「そうなのかなあ・・・それより・・・」
急に小声になって
「社会革命党のことを気にしてるんじゃないのかな・・・モンローだって聞いたことあるだろ、社会革命党・・・」
「まあね・・・あたしにもいろんなお客さんがいるからね・・・いろんな噂話しは嫌でも耳に入ってくるわ」
「王制を倒そうとしているからな・・・あいつら・・・王女様だって気が気じゃないだろうさ」
「あたしも王制なんか無くたっていいって思っているわ、町の人たちみんな思っているんじゃないの・・・あんただってそうじゃないの?」

「声がでかいぜモンロー・・・この話は止めようぜ・・・それでなくても俺は社会革命党の連中に追われてるんだ・・・これ以上いろんな人間に嫌われたくねえよ」
「あら・・・あんたって意外と弱虫なのね」
モンローが嘲笑した
「弱虫なのが一番さ・・・危ない場所には近づかない、それが長生きのコツってもんだ・・・とは言ってもなあ・・・探偵稼業は危ない場所に行かないと成り立たないからなあ・・・それが困りもんだ」

「そうね・・・危ない場所に近づかないのが一番幸せよ、あんたも王女様の頼みごとなんか断ったほうが・・・身のためよ、社会革命党から狙われるのと、王女様から狙われるのと・・・どっちが怖いか知ってる?」
「おや?俺のことを心配してくれるのか?もしかして俺に惚れてるな」
ニヤッと嫌らしい笑いを浮かべるウサギ探偵
「私はお金さえもらえればいつでも寝るわよ、でも恋愛はごめんなの、それじゃ、コーヒーごちそうさま」
そう言ってモンローは帰って行った

あの時、モンローはこの仕事から手を引くように忠告したのだろうか?


つづく




 



PR

Calendar

S M T W T F S
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031
<< December 2011 >>

Archive

Mobile

qrcode

Selected Entry

Comment

Link

Profile

Search

Other

Powered

無料ブログ作成サービス JUGEM