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 「よし!今日は新宿へ出かけるぞ!」
俺は詠子を連れて三鷹に出た
詠子に健司を誘いに行かせ、三鷹駅前で煙草を吸いながら待っていた

詠子に連れられて不機嫌そうな顔でやってくる健司
「なんで、突然呼びにくるんだよ・・・僕だって用事があるのに・・・」
不機嫌そうな顔をしているが、詠子に誘われると、健司だって嫌なわけがない
生まれてから一度も彼女がいない健司だから
女の子を相手に、どう対処していいのか分からないだけだ
詠子のように可愛い女の子が誘いに来て、嫌な訳が無い

それが証拠に、駅前で同級生に会った健司は、詠子と一緒の所を見られて
「また、学校で何か言われるよ〜」なんて言いながらも、嬉しそうだった

「それで、どこへ行くの?」
「歌声喫茶だ」
「うたごえきっさ?・・・なにそれ?」
「聞いたこと無いか?」
「うん・・・」
「あたしも知らない」
詠子が知っている訳が無い

俺たちは東京行きの中央線に乗った

「歌声喫茶の歴史を話すと長くなるから、とりあえず、灯の話をしよう」
「ともしび?」
「そうだ、ともしび・・・西武新宿駅前に1956年に開店したそうだ、当初はロシア民謡などをみんなで歌っていたらしい、店名のともしびも、そこから来ている」


ともしび

夜霧のかなたへ別れを告げ 雄々しきますらお出でて行く
窓辺にまたたくともしびに つきせぬ乙女の愛のかげ♪


「1958年に4階建ての灯ビルが出来た。この頃が一番盛り上がっていたかもしれない」 

俺たちは新宿で降りて、西武新宿駅前まで歩いた

灯の店内は2階と3階が吹き抜けになっていて、広いステージがあり、客席も250席あった
最盛期は店内に入りきれない人々が店を取り囲むように並んでいたらしいが、1969年の今は、少し落ち着いていた。
背もたれの無い長椅子に並んで座り、灯歌集を買った
お客はやはり若者ばかりだ
俺のような50代は居ない
ステージに歌唱指導者が上がり、ステージが始まる

「みなさん、お待たせしました!本日第一回目のステージを始めましょう!お待ちかねの一曲目はカチューシャ!」


カチューシャ

りんごの花ほころび 川面にかすみたち
君なき里にも 春はしのびよりぬ♪


こうやって、次から次にみんなで合唱する
初期はロシア民謡などが多かったようだが、この時代はやはりフォークソングが多くなっている
歌集を持っていない人は、初めて会った隣の人に見せてもらって歌った。
演奏はカラオケなんかじゃなくて、バンドの生演奏。
コーヒー一杯で朝から閉店まで歌う人もいるらしい。
最初は恥ずかしがっている人も、周りに影響されて大声で歌っている

詠子も健司も大きな口を開けて歌っていた

こんな、楽しい店なのに・・・
時代の流れには逆らえず、1977年に閉店した。

しかし、今でも
新宿のあるビルの中で「灯」はひっそりとやっている
興味のある人は行ってみてください
客層は年配の人がほとんどですが、今でも大声出して元気に歌っています


つづく


                  参考文献 「歌声喫茶(灯)の青春」 丸山明日香


 悪夢のような一夜が明けた
ポコポコ王女が目覚めると、そこには誰も居なかった・・・
部屋の中は酒ビンやおつまみなどのゴミが散乱し、所々赤い血のようなシミが広がっていた

「夢だったのかな?・・・」
ポコポコ王女は立ち上がり、洗面所で顔を洗った
朦朧としていた意識が少しハッキリしてきた
今まで登場してきた様々なキャラクターがこの広間に集合していたことを思い出した
「みんなどこに行ったのかしら?」
廊下を歩いた
子分達の姿も見当たらない
建物の中には、自分一人だけ・・・

表のドアを開けると、強い風が起こす砂埃が吹きこんできた
ポコポコ王女はあわててドアを閉め、広間に戻った
広間の入り口から、部屋内を見渡してから
倒れていた椅子を直して座った
座ったまま、しばらく茫然としていたが、急に空腹を感じた
冷蔵庫の中に、一本だけ魚肉ソーセージが残っていたので、皮を剥いて食べた

突然、散乱しているゴミが動いた
ハッとして見ると、ゴミの間からジョーが顔を出した
「ジョー!?居たの?」
ジョーの顔にはたくさんのキズがあり、服はボロボロだった
目は焦点が合っていないようで、ポコポコ王女の姿が見えているのかいないのか・・・判然としなかった
「ううう・・・・」
唸り声のような声を出した後、慌てて口を押さえ、洗面所に駆けこんだ
しばらく、ジョーの唸り声が聞こえていた
ポコポコ王女は、急に食欲が無くなり、ソーセージを投げ捨てた

洗面所に行くと、ジョーが座り込んでいた
「ジョー、大丈夫?」

ジョーはこちらに背中を向けたまま
「ああ・・・」
と呻き声を発した
「みんな、どうしたのかしら・・・どこへ行ったのかしら・・・ジョー、知ってる?」

ジョーは振り向いて、初めてポコポコ王女に気付いたかのように目を見開いた
「昨日のこと・・・覚えていないのか?」

「えっ?・・・昨日、何かあったの?」

ジョーは髪の毛に住み着いたクモを振り払うかのように頭を振った
「あんな恐ろしいこと・・・思い出したくも・・・無い・・・」
そう言うと気を失って倒れた

一体・・・・昨日何があったのか?・・・


つづく



 鷹の台のタツノコスタジオ
扉を開けて中に入る
玄関の両側に靴箱が置いてある
俺は靴箱を適当に開け、スリッパを取り出して履いた
右側が受付みたいになっていたが無視して中に入り、カタカタと音のする部屋のドアを開けた

暗く狭い部屋に何人もの人が集まって、フィルムを見ていた
映写機の音だけが狭い部屋に響き渡る
最前列に座っていた人が叫んだ
「そこ戻して!」
映写機を操作していた人がフィルムを戻して再度流した
「あっ!そこそこ、肩がパカってる」
周りの人々から同調する声が上がる
「カット53、大魔王の肩パカ」
「はい!」
ヒゲ面の若い男が何か記入する
またフィルムが流れ出し、同じことを繰り返していく
「カット82、セル浮き!」
「カット139、パンガタ!」

フィルムを見ているうちに思い出した
これは(ハクション大魔王)というアニメーションだ
今はみんなで間違いを探している途中ってことだ

フィルムが終わり、部屋に灯りが点いた
集まっていた人々は三々五々部屋から出て行った
痩せこけたヒゲ面の若い男に何か指示していた人は、横に座っている小さい人に顔を向けた
「笹川さん、あそこのカット、どうですか?やっぱり直したほうがいいですかね?」
笹川さんと呼ばれた30過ぎくらいの小さな人は穏やかそうな表情のまま
「いいんじゃない、大丈夫でしょ、いい感じに上がってますね、さすがは資祐さんです」
資祐さんは照れくさそうに笑った

資祐さんとヒゲ面の男は忙しそうに部屋を出て行った
「すぐにカット用意します!」
ヒゲ面の男の声が聞こえる
笹川さんはフラッと立ち上がると、そのまま奥の部屋をのぞいて、誰かに声をかけて笑っている

映写機のある部屋は6畳くらいの広さの中に長テーブルが一つ置かれていた
壁際には、俺の知らない機械が並んでいる
見回しながら立っていると、笹川さんが戻ってきて、俺の前で立ち止まった
「あなたは?」
笹川さんは俺の顔を見て首を傾げ、急に思い出したように
「ああ・・・新しく入った作画の人ですか?」
「はい、そうです!山田健司郎です!よろしくお願いします」
俺は右手を差し出して強引に握手した
笹川さんの小さな身体がヨロケた
「はい、そうですか、よろしくお願いします・・・」

「笹川くんは、ここで何の仕事をしてるの?ペイント?」
笹川さんの正体を知らない俺は、年下の男に気楽に聞いた
笹川さんはびっくりした顔して俺を見た
「あ・・・あの・・・監督しています・・・」
「監督!?」
監督と言えば、世の中で一番偉い人間!俺はびっくりして平伏した
「失礼いたしました!まさか監督だとは思わず、ご無礼の数々お許しください!」

笹川さんは笑いながら
「ハハハ、いいんですよ、気にしないでください」
笹川さんは若いのに立派な人だと、俺は感心した

俺はそれから堂々とスタジオ内を徘徊した
しかし・・・昼過ぎなのに、あまり人が居ない
机の下で寝ている人もいる
仕事している人に聞いてみると、みんな夜になると出てくるらしい
漫画家の生活と似ているようだ・・・

しかし、みんな若い
スタジオ内で出会う人たちはみんな俺より年下だ
薄汚れているが、何か溌剌として自信に充ち溢れている
それがアニメスタジオで働く人々の特徴のようだ
何気なく梁山泊ってこんな雰囲気だったのかもしれないな・・・と思った

スタジオ内が迷路のようになっているので、うろついているうちに迷子になってしまった
途方にくれていると若い女の子が部屋から出てきたので声をかけた
「あの〜ここに田中詠子さん働いてませんか?」
「ああ、居ますよ、こっちです」
連れて行かれた狭い部屋で、詠子は机に向かってカンちゃんの色を塗っていた
「おじさん!こんなところで何してるの?」
詠子はびっくりした

「いや・・・ちょっとな、見学に来たんだ」
「やだ〜〜ストーカーみたいな真似しないでよ〜〜」
ちょっと機嫌が悪い
「分かった、すぐ帰るよ」
俺はあわてて部屋を出て階段降りて行くと、玄関に出た
受付前のソファに笹川さんと背広姿のちゃんとした人が座って話していた
俺は軽く頭を下げながら二人の前を通り過ぎ
思いついて声をかけた

「笹川さん」
笹川さんと背広の人が俺を見た

「私の知り合いにドロンボーっていう泥棒の三人組が居るんですよ、そいつらはインチキ商売で金を貯めてロボットを作っては悪さをするんです」
笹川さんと背広の人はポカンと俺を見ている

「ドロンボーのライバルが、ヤッターマン1号2号って言うんです、面白そうでしょ?それじゃさようなら」
俺は外に駆けだした

笹川さんが背広の人に声をかけた
「社長・・・今の人、社長の知り合い?」
「いや・・・笹川さんの知り合いじゃないの?」
「さっき会ったばかりです・・・」
笹川さんと吉田竜夫社長は呆気に取られたまま閉まった扉を見つめた


つづく








 「あたし、働きに行きたい」
夕食の時、詠子が突然言った
俺は思わずコロッケを喉に詰まらせた
「働く?なぜだ?」
「だって、毎日家にいてテレビ見て、おじさんの食事の世話をして、時々健司くんと三人で日比谷野音行ったり、フォークコンサート行ったりだけの毎日なんて、退屈!他に友達も居ないし、おじさんと健司くんと遊んでたって、面白くない、もう飽きた」

「・・・そうか・・・じゃあ、高校行くか?」
「今更、高校なんて行きたくない、元々勉強なんて好きじゃないし、働く」
「働くって言っても・・・何かやりたいことあるのか?」
「もう、面接してきたんだ」
詠子がハガキを出した
採用通知だ

「タツノコプロ?なんだこれ?」
「アニメ会社よ、ハクション大魔王作ってる会社」
「ハクション大魔王・・・聞いたことはあるな・・・そこで何して働くんだ?詠子は漫画なんか描けないだろう?」
「ペイントよ、色を塗るの、誰でもできる仕事だって言ってたわ」
「誰が?」
「面接してくれた吉田竜夫社長」
「ふ〜ん・・・」

今は、俺がパチンコで稼いでくる金だけが、収入だった
ちゃんと就職して働けば、もっと稼げるのだが、そうすると、当初の目的を達成することが難しくなってくる・・・

当初の目的!
詠子と健司を恋仲にすること!

最近ちょっと当初の目的を忘れているかもしれない
いけないことだ・・・

俺の叶えられなかった夢を健司に叶えてもらおうと、フォークシンガーに拘りすぎたかもしれない・・・

ここで、詠子がアニメ会社で働きだすと、健司と合う時間が減ってしまうかもしれない・・・
それでは、目的が達成できない・・・

俺は考えた・・・・・・・・・・・・・・

「よし!分かった!」
「許してくれるの?ありがとうおじさん!」
「俺が代わりに働きに行く!」
「えっ?・・・どういうこと?」
「俺が代わりにタツノコプロでペイントの仕事をする!」
「何言ってるの?おじさん・・・ペイントは女子だけなの、男は募集してないのよ」
「ホントか?そりゃ男女差別だぞ!」
「もし・・・男でも良くたって、50過ぎのおじさんなんか雇ってくれるわけないでしょ」
「・・・そうか・・・」

「許してくれないのだったら、家を出ます!」
「わ・・・分かった・・・」
結構気が強いんだ、詠子は・・・


翌日から詠子は嬉々として働きに出かけた

俺は一時間ほどしてから、前もって調べておいた住所に出かけた
国分寺市鷹の台だ!

駅から10分ほど行った畑の中にタツノコプロダクションのスタジオがあった
建物の前に立って、ジロジロ眺めていると、扉を開けて汚い格好の若い男が出てきた
彼は胡散臭そうに俺を見ているので、落し物を探しているふりをした
「え〜と・・・ここらへんに・・・」
彼はスタジオ横の駐車場に歩いて行った
次にガタイのいいやくざ風の若い男が出てきた、やくざ風の若い男は俺をジロッと睨んだ
・・・殺される!・・・
一瞬ビビった
「案納さん、こっちです」
汚い格好の若い男が、やくざ風の男に声をかけた
「おう!」
案納さんと呼ばれた男はそう言って、車のほうに歩いて行った
・・・助かった・・・

アニメ会社はもしかして恐ろしいところかもしれない・・・
詠子を働かせていいのだろうか?

二人を乗せた車が走り去ったので、俺は気を取り直してスタジオの扉を開けた


つづく


 「トラのジョー!?」
「ポコポコ王女・・・なぜここに?・・・」

そこに乱入してくるマナとモンロー
狭い所に我慢できなくて看守を色仕掛けで騙して脱獄してきたのだ
「ポコポコ王女!こんなところから早く逃げましょう!」

ウサギ探偵が窓を蹴破って飛びこんできて
クルッと一回転して銃を構えた
「みんな動くな!ポコポコ王女救出に来たぞ!」
幽霊のカーバー王子も飛びこんできてマナのそばに行き
「マナ!大丈夫か!」
「お兄様〜〜〜!」と
抱き合おうとしたが、幽霊なので無理だった

部屋の隅の穴からねずみ爺さんとちゅう太郎が顔出した
牢屋に閉じ込められてもねずみは小さな穴があればどこでも行ける
「ポコポコ王女!爺が助けにまいりましたちゅう!」

たくさんの動物たちが部屋の中で右往左往

ジャック「なんだこいつらは?」
ジョー「ポコポコ王女!ハイエナジャックと付き合っていたのか?」
モンロー「お酒は無いのかしら?」
マナ「お兄様〜〜〜〜!」
カーバー「マナ〜〜〜〜〜!」
ねずみ爺さん「ちゅう太郎!爺さんのカッコいいところ見ておくれちゅう」
ジャック「おい!子分!子分はどこだ!こいつら捕まえろ!」
ちゅう太郎「うん!お爺さんカッコいいよ!」
ポコポコ王女「付き合ってるっていうか・・・今日会ったばかりだけど・・・」
ウサギ探偵「この銃は実は弾無しなんだ」
ジョー「俺のことを好きだと言っていたのに・・・この浮気者!」
ポコポコ王女「何言ってんのよ!?あたしに興味無かったんでしょ?」
ウサギ探偵「手を挙げろ!ポコポコ王女誘拐の罪で逮捕してやる!」
ジョー「死んだと思っていたのに・・・ポコポコ王女」
ねずみ爺さん「でも、ちょっとお腹空いたちゅう」
マナ「お兄様〜〜〜〜!」
ポコポコ王女「やっぱり、あたしを殺そうとしたのわ、あんただったのね」
カーバー「マナ〜〜〜〜!」
ちゅう太郎「僕も何か食べたいな〜」
モンロー「あたしがジョーに頼まれて爆弾を仕掛けたの」
ジャック「ポコポコ王女、みんなとどんな関係?」
ウサギ探偵「手を挙げろ!嫌なら足上げろ!」
モンロー「あたしとジョーは訳ありなのよ」
ジャック「尻尾を齧るのは誰だ?」
ポコポコ王女「訳ありって、どういうことよ?」
ウサギ探偵「誰も俺の話し聞いてくれないから、バーボンでも飲むか」
マナ「お兄様を抱きしめることができないなんで・・・悲しい・・・」
ちゅう太郎「カジカジカジ・・・」
カーバー「いいよ、俺は代わりにモンローを抱きしめることにするから」
ジャック「噛むなっちゅうに!」
ジョー「モンロー、それ以上言うな!」
ウサギ探偵「ワイルドターキーか」
ポコポコ王女「それ以上って!どんな秘密なのよ!モンロー教えて!」
ウサギ探偵「ジムビームは無いようだな・・・」
ジャック「ポコポコ王女、そんなことはどうでもいいじゃないか!怒っているキミもステキだよ」
モンロー「やめてよ〜〜さってきから幽霊があたしにまとわりついてくるんだけど、どうにかなんないの?」
ポコポコ王女「どういう関係?」
ジャック「齧るな!」
ジョー「何でも無い」
カーバー「幽霊は楽しいな〜〜〜」
ポコポコ王女「モンローに聞いてるの!」
ジャック「王女、そろそろお風呂でも入らないか?」
ちゅう太郎「お爺さん何か食べるもの〜〜〜」
ポコポコ王女「うるさいわね薄汚いハイエナ!大塚明夫みたいな声だからってうるさいわよ!引っこんでて!」
ジャック「薄汚いハイエナって・・・・そうだけど・・・ウェ〜〜〜〜ン」
モンロー「なんでスカートの中覗くのよ!」
カーバー「幽霊って楽しいな〜〜〜何しても捕まらない〜〜〜」
ウサギ探偵「探偵はBARにいる」
ねずみ爺さん「おや、珍しい!ゴーダチーズがあるちゅう」
マナ「お兄様なんか嫌い!」
ポコポコ王女「こんな女と付き合っていたの?ジョー!?」
ジョー「なんであんたに怒られないといけないんだ?あんたは俺の彼女か?」
ポコポコ王女「ち・・・違うけど・・・」
モンロー「毎日のように愛し合ったのよ」
ちゅう太郎「ゴーダチーズって何?」
ポコポコ王女「まままままままま・・・・毎日!」
ウサギ探偵「若者は元気いいなぁ」
マナ「私、トラのジョーさんとお付き合いしたいわ!」
ポコポコ王女「マナ!引っこんでてよ!」
ジョー「マナさん・・・美しい・・・なんてスリムな身体」
ポコポコ王女「悪かったわね!ビヤ樽で!」
ねずみ爺さん「オランダのロッテルダム近郊の町、ゴーダで作られているんじゃ」
モンロー「なんであたしのおっぱい触ろうとするのよ!この幽霊!」
カーバー「幽霊は楽しいなぁ〜〜〜!」
ジャック「え〜〜と・・・俺の立場は・・・」

騒がしい夜はさらに続くのであった・・・


つづく


俺は健司に宿題を出してみた

「詩をかいてみろ!」
「詩?・・・書いたことないんだけど・・・」
「フォークシンガーになりたいんだろう?それだったら作詞できなきゃしょうがないだろう!人の作った歌ばかり歌っていてもダメなんだ、オリジナリティが無けりゃな」
「はい・・・分かりました・・・」
健司は自信無さそうに頷いた

俺も16歳の時に詩なんか書いたことが無い
だからこそ、俺が叶わなかった夢のために、健司を教育していくのだ
フォークシンガーになって、詠子の愛も勝ち取るのだ

詠子は最近テレビアニメばかり見ている
ちなみに1969年頃に放送していたアニメは
「どろろ」「忍法カムイ外伝」「もーれつア太郎」「紅三四郎」「ウメ星デンカ」「海底少年マリン」
「ひみつのアッコちゃん」「タイガーマスク」「サザエさん」「ハクション大魔王」「ムーミン」
「アタックNO.1 」「男一匹ガキ大将」
こうやって列記していくと、錚々たるアニメ群だ!
子どもたちには堪らない毎日だったんだろうなぁ〜

詠子と健司を何とか仲良くさせようと思っているのだが・・・
どうも、うまくいかない・・・
詠子はちょっと大人びたところがあって、ひとつ上の健司を子供っぽいと馬鹿にしている感じがある
年齢設定を間違えたかも知れない・・・
15歳の詠子じゃなくて13歳の詠子を連れてくれば良かった・・・

数日して健司から電話が来た
三鷹まで自転車で出かける
名曲喫茶「第九」で会う

「作詞出来ました」
そう言ってノートを広げた

この世は無常
つらいことばかり
こんな世の中 俺はいやだ
大人になんか なりたくない
子どものままで 俺はいるさ
戦争 戦争 戦争 大人は戦争ばかり
でも 子どもは幸せ
子どもだったら戦争しない

親の言うこと ウソばかり
親なんか信じられない
先生だって ウソばかり
世の中 ウソばかり
信じられるのは キミの笑顔
ラララ〜〜〜 ラララ〜〜〜〜


「・・・・・」
健司は身を乗りだして俺の顔色を伺っている
「どうですか?初めて書いたのに、けっこう良く出来たなって思ってるんだけど・・・」
俺はノートを閉じた
どう言ったらいいのか、俺は考えた・・・
誉めるべきか・・・
厳しく行くべきか・・・
誉めて調子に乗られてもムカつくし・・・厳しく言ってやる気を無くさせるのも困るし・・・
こういう時、俺は優柔不断なんだ・・・だからいつまでも、しがないエロ漫画家だったんだ・・・

「いいよ、最高だよ!」
取りあえず誉めることにした
「この調子で、どんどん書きなさい!書けば書くほどうまくなるぞ!間違いない!」
不安そうだった健司の顔が明るく輝いた

「ホント!?じゃあこれでレコードに出来る?」
ほら、やっぱり調子に乗った
「いやいや、まだまだ、レコードに出来る曲は100点満点じゃないとダメだ!いまはまだ・・・そう・・・80点くらいかな!100点目指して頑張ろう!」
急にがっかりする健司
「え〜〜、ダメなの?・・・」
「うむ!レコード業界は厳しいんだ」
「・・・100点満点の曲って・・・例えば?」
「そりゃ、もちろん、岡林信康の曲さ、あとは・・・ザ・フォーク・クルセダーズの(帰ってきたヨッパライ)とか・・・」
「・・・帰ってきたヨッパライより、いい詩だと思うけど・・・」
健司は不満そうだ
「自分で書いたものは、他人が評価するんだ、自己満足に陥っちゃいけない!もっとたくさん書けば、もっと良い詩がたくさん出来る!頑張れ健司くん!」
「・・・はい・・・」

「ちなみに・・・キミの親はウソばかり付いて、キミを騙すのか?」
「いや、とても優しい親ですよ、ギターも買ってくれたし」

愚問だった・・・
健司の親は、俺の親でもある・・・
俺の親はしがない地方公務員、騙されることはあっても、騙すほどの才覚は無い

「キミの詩に(親の言うことウソばかり)って、書いてあったけど?」
「ああ、そこですか・・・何となくそう書いたほうが、フォークソングっぽいかなって思っただけです・・・」
「そ・・・そうだね・・・」

なんか急に元の時代に帰りたくなった・・・


つづく






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