深夜遅く帰宅すると、迎えてくれる猫のチビ。
その無垢な仕草で俺の疲れた心は慰められる。
ミルクを舐めるチビ、餌を食べるチビ、布団の上で丸くなって眠るチビ、眺めているだけで俺は幸せな気分になる。
猫っていいな・・・いつもそう思う。
今日も上司に叱責された。
馬鹿だ!能無しだ!給料泥棒だ!
上司は思いつく限りの罵詈雑言を俺に浴びせた。
思い出すだけで涙が溢れる。
でも、猫だったら一日ゴロゴロしていても、上司に叱責されることもない・・・猫っていいな・・・・
そう思いながら寝たせいなのか、朝目覚めると猫のチビになっていた。
神様が俺の願いを叶えてくれたんだと思い、一日ゴロゴロしていた。
なんて幸せなんだろう。
何の心配もいらない、仕事のことも、社会のことも、政治のことも、何も心配しなくていい。
ただゴロゴロしていれば、飼い主が餌とミルクを用意してくれる・・・
そのはずだったのだが・・・
俺の体に移ったチビもまた猫の俺と同じようにゴロゴロしている。
三日過ぎると餌とミルクが無くなった。
このままでは家賃も払えなくなり、電気ガス水道が止められてしまう・・・
俺は仕方なく会社に出かけることにした。
服は着れないので、裸のままだ。
しかし、猫が裸で街を歩いても誰も不思議には思わない。
会社の机の上に乗ってパソコンを操作しながら仕事をした。
上司は何も言わなくなった。
猫になった俺に構いたくないらしい。
そんな時は少し幸せな気分になる。
深夜遅く帰宅すると、迎えてくれる俺になったチビ
その無垢な仕草で俺の疲れた心を慰めてくれる・・・
おしまい