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 由紀子「ここは?」

男「ここは196Q年だ」

由紀子「えっ?」

由紀子キョロキョロ辺りを見回す
長髪の薄汚い若者たちが歩いている
まさにここは196Q年の東京

由紀子「こんなところに連れてきて私をどうするつもりなんですか?誘拐?お金が目的なんですか?それとも私の穢れを知らぬ肉体?」

男は慌てて首を振った

男「誘拐でも体が目的でも無い、安心してくれ、何も危害は加えないから」

由紀子は少し安心したようだ

由紀子「それじゃ、ここに連れてくるのは私じゃなくても良かったのですか?」

男「いや!西田由紀子、キミじゃなきゃダメなんだ」

由紀子「それは・・・・私がクラスで一番可愛いから?」

男「ふ〜ん・・・クラスで一番可愛いのか・・・」

由紀子「私が自分で言ってるんじゃないのよ、みんながそう言ってるだけ、クラスのみんながね、先生たちもそう言ってるわ、先輩も後輩も言ってるわ、商店街の人たちも、隣の高校の男子たちも・・・」

男「分かった、分かった、キミが可愛いのはよく分かった」

由紀子はもっといろいろ言いたいみたいだったが、口を噤んだ

男の独白「由紀子はこんな時から自信過剰だったんだな・・・でも、そこが可愛いんだよな〜」

男「さて、それじゃこれからコンサートに行こう」

由紀子「コンサート?誰の?松浦あや?ミニモニ?それともゴマキ?」

男「いや、フォークソングコンサートだ」

由紀子「えええ?なにそれ???」

歩いてきた若者たちが歌いだす

♪友よ夜明け前の闇の中で
♪友よ戦いの炎を燃やせ
♪夜明けは近い 夜明けは近い
♪友よこの闇の向こうには
♪友よ輝く明日がある


   「友よ」 作詞 岡林信康


つづく








 舞台上手からリンゴが転がり出てくる

科学者「実験は成功だ!」

男「すごいじゃないか!これでノーベル賞間違いなしだ!ところで、生き物での実験は?」

科学者「うん・・・三日前に飼い猫のトラを一時間後の未来に送る実験をしたのだが・・・未だに戻ってこない・・・あれ以来妻が口を聞いてくれない・・・」

男「よし!俺が実験台になってやるよ!」

科学者「いいのか?」

男「ああ、何事も挑戦してみたいのが俺の性分だ!丸谷才一も言ってたじゃないか!見る前に跳べって!さあタイムマシンを貸してくれ、ふむふむ、これで行き先の設定をするんだな」

タイムマシンをいじる男、

科学者「10分後の未来に設定するんだ、それ以上だと俺は心配で失禁してしまうかもしれない」

男「分かった!よし、それじゃ時間旅行の始まりだ!」

右手に握ったタイムマシンを高々と掲げる男、スイッチを入れると舞台全体が赤く光り、すぐに暗転

照明が点く
舞台中央に男ひとり

男「悪いな騙しちゃって、タイムマシンが正常に作動していれば、ここは10年前の東京のはずだ、そしてあの子が通っている高校の前・・・」

男の横を上手から下手へ通過する高校生たち
一番最後にひとりの女の子が駆け込んできて転び、カバンの中身をあたりに撒き散らす

女の子「ああ、またやっちゃった〜」

見ている男

男「あの子に間違いない!」

男は駆け寄り、落ちたものを拾ってあげる

女の子「ありがとうございます」

男「私は今日ここに赴任してきた数学教師だ、キミの名前は?」

女の子「はい、西田由紀子です」

男「間違いない!実はキミにお願いがあるんだがいいかな?」

女の子「はい何でしょう?」

男は女の子に背を向けてタイムマシンを操作してから
向き直って左手を差し出す

男「手を握ってくれ」

女の子「は、はい?」

女の子が手を握った瞬間、タイムマシンのスイッチを入れる男
舞台が赤く光り、一瞬で暗転

暗転の中から歌声が聞こえてくる
歌の途中でゆっくりと照明が点く

♪遠い世界に 旅に出ようか
♪それとも赤い 風船に乗って
♪雲の上を 歩いてみようか
♪太陽の光で 虹を作った
♪お空の風を もらって帰って
♪暗い霧を 吹き飛ばしたい

    作詞 西岡たかし

舞台では三人くらいの男女がギターに合わせて歌っている
歌い終わると笑いながら下手へ
舞台上手側には男と西田由紀子

由紀子「ここは?」

男「ここは196Q年だ」

由紀子「えっ?」


つづく


 スナックトマト
スポットライトの中、男の独白

男「彼女は世間的には美人とは言えないのかもしれない、でも、その優しい笑顔が俺には一番の宝物なのだ・・・そりゃ確かに年齢が離れているから、そういうギャップはある。だがそれを補うくらいの近い感性・・・」

舞台全体に照明が当たる

女「一緒に歌いましょう」
男「そうだな、じゃあ中島みゆきなら分かるよね」
女「うん、大丈夫」

二人は立ち上がり、手を繋いで歌いだす

♪なぜ めぐり逢うのかを
♪私たちは なにも知らない
♪いつ めぐり逢うのかを
♪私たちは いつも知らない
♪どこにいたの 生きてきたの
♪遠い空の下 ふたつの物語
♪縦の糸はあなた 横の糸は私
♪織りなす布は いつか誰かを
♪暖めうるかもしれない

     「糸」  作詞 中島みゆき

暗転

科学者の声が響く

科学者「できた!完成したぞ!」

スポットライト
右手に小さな機械を持っている科学者

科学者「苦節40年、理論的には不可能と言われたタイムマシン!しかし私は根性で作り上げた!幼少時代に読み続けた漫画に描かれてあった根性!・・・根性があれば、!大リーグボールだって投げられる!根性があれば何でも叶うのだ!」

右手の機械を見て

科学者「しかもこんなにコンパクト!思えば壱号機は東京タワーのように巨大だった、しかしそんな大きなタイムマシンで過去や未来に行くのは不可能!弐号機参号機と改良を重ね、こんなに小さくできた!ウォークマンを作ったソニーのように!iPodを作ったスティーブ・ジョブスのように不可能を可能にすることができた!」

下手から男

男「何をそんなに興奮しているんだ?」

科学者慌てて機械を隠すが、男に気づいてホッとする

科学者「なんだ、山田か・・・びっくりしたよ、ソ連のスパイが私の発明を聞きつけて奪いに来たのかと思った」
男「ソ連って・・・いつの話しだ・・・何か発明したのかい?」
科学者「聞いて驚くな」
男「なんだって!それは本当か!?」
科学者「まだ何も言ってない!お笑い芸人みたいなノリはいらないから」
男「失礼」
科学者「実は斯く斯く云々だ」
男「なんだって!それはすごい!そんな発明は藤子F不二雄以来誰も発明していないぞ!」
科学者「いや、エメット・ブラウン博士が一度発明している」
男「誰だそれは?」
科学者「通称ドクだ、デロリアンを改造してタイムマシンを作った」
男「おお、そうか!ところでお前の作ったタイムマシンはどこにある?」

キョロキョロ探す男

科学者「これだ!」
男「なんと!そんなに小さいのか!本当に過去や未来へ行けるのか?」
科学者「もちろんだとも、10分前にリンゴを未来へ送る実験をした」

腕時計を見て

科学者「丁度10分経った」

突然舞台上手からリンゴが転がり出てくる

科学者「実験は成功だ!」
男「すすすす、素晴らしい!」

男にスポットライト当たる

男「いいことを思いついた!」


つづく




 

  • 2013.01.08 Tuesday
  • 196Q

 第一幕

ここはスナックトマト店内

ステージと客席が暗くなる
イントロが始まる
舞台に照明、マイクスタンドの前で歌う男

♪私たちは今 思い起こさなければ
♪私たちは今 平和をきずかなければ
♪私たちは今 兄弟を守らねば
♪私たちは今 戦争を忘れてはならない
♪まるで洪水のように
♪なにもかもが
♪ひきずりこまれて行く
♪私たちは今 戦争を忘れてはならない・・・

     作詞 西岡たかし

舞台全体に照明が点く
男の後ろのボックス席で欠伸をしていた若い女が慌てて拍手をする

女「始めて聞いたわ」
男「これは、五つの赤い風船ってフォークバンドが歌っていた(まるで洪水のように)と言う曲さ」
女「フォークソングって聞いたことないわ」
男「そうだよな、キミはいくつだ?」
女「27よ」
男「キミが産まれるずっと前の歌だ、あの頃は良かった・・・」

遠くを見つめる男
苦笑する女

女「私の知っている曲を歌ってよ」
男「悪い・・・最近の歌はまったく聞かないんだ、何を聞いても全部同じに聞こえる、AKBだってDDTだってももクロだってシロクロだって、違いが分からない」
女「そう・・・」

会話が続かない、男も女も沈黙

男が意を決して立ち上がり、スポットライトが当たる

男「俺はこの女が好きだ!大好きだ!結婚できるものなら結婚したい!運良く俺は独身だ・・・バツイチだが・・・しかし、俺はもうすぐ還暦、だが彼女は27歳・・・年の差は30歳・・・しかし!加藤茶は45歳も年が違うのに結婚した!それに比べれば30歳なんてどうって事は無い!」

振り返り、女の方を見る
ゆっくりと顔を戻し

男「だが、加藤茶はお金持ちだ・・・それに比べて俺は貧乏なアニメ演出家・・・おまけにイケメンでも無いし身長も低い、鼻も低い・・・イビキがひどい、歯ぎしりもする、足も臭いしオナラも臭い・・・マイナス要素が多すぎる・・・っていうか、プラス要素が皆無!・・・こんな俺でも若い時は輝いていた・・・と思う・・・」

照明が点く

女「独り言?もう一杯いただいていいかしら?」
男「あ、ああ、いいよいいよ」

慌てて座る男
反対に女は立ち上がりカウンターに近寄ってバーテンにウーロンハイを注文する
バーテンダーは若いイケメンだ、女とバーテンダーの視線が一瞬絡み合う
男の胸に嫉妬の炎が燃え上がる

男「やっぱり女はみんな若いイケメンが好きなんだ!俺なんか俺なんか・・・あ〜〜〜もう一曲うたってやる!」

♪好きだった人 ブルージーンをはいていた
♪好きだった人 白いブーツをはいていた
♪好きだった人 ステテコもはいていた
♪好きだった人 Tシャツが似合ってた
♪失恋という言葉は 知ってたけれど
♪失恋という言葉は 知ってたけれど

     作詞 伊勢正三


つづく






ボス宇宙人
お金大好き宇宙人
貯めるためなら脱税だって泥棒だって銀行強盗だって何でもOK
でも、貯めたお金をどうするかは考えてない
貯めることだけが目的
それって楽しいの?



 ある日突然宇宙人たちがやってきた!
でも、地球を侵略に来たわけじゃなくて、友好的な良い宇宙人
宇宙人はこう言った
「私たちの星は土地がいっぱい余ってます、狭い星に住んでる地球のみなさん、私たちの星に住んでいいですよ、もちろんタダです」
狭い地球に飽き飽きしていた若者たちはすぐに宇宙船に乗り込んだ!
会社勤めで胃を荒らしたおじさんたちも乗り込んだ!
宇宙人に惚れたお姉さんたちも乗り込んだ!
アパート住まいの家族も乗り込んだ!
第二のアメリカ大陸、フロンティアスピリッツ!
地球の60歳位以下の連中がすべて宇宙船に乗って行ってしまった。
地球に残ったのは老人だけ。
「今更そんな知りもしない星なんて行きたくないですじゃ」

それから三ヶ月
老人たちは気がついた
「ワシら老人が死んでしまったら、地球の人類は滅びてしまう!」
地球の老人たちが集まって会議をした
会議の途中にも老人たちが倒れて死んだ
老人たちは焦った
「会議なんてやってる場合じゃない!」
一人のお婆さんが叫んだ!
「子供を産まなくちゃ!」
お婆さんは横にいたお爺さんを押し倒した
お爺さんたちも誰彼構わずお婆さんを押し倒して子作り作業を始めた。
文句を言う人間はひとりもいない、何たって人類存亡の危機なんだから!
地球上のお爺さんお婆さんは毎日のように励んだ。

やがて、地球全体に新しい生命がたくさんたくさん産まれた
めでたしめでたし。


おしまい


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