若者たちの歌う「友よ」を聞きながら、男の目から大粒の涙
しかし、横に立っている由紀子はキョトンとして聞いている
男「素晴らしい唄だ!青春だ!輝く明日があるんだ!」
由紀子「バカみたい」
男「えっ?」
由紀子「夜明けは近いなんて、当たり前じゃん!夜の次は朝なんだから」
男「そりゃ、そうだけど、この唄はそういう意味じゃなくて・・・」
由紀子「お腹空いた、マック行きましょ!遅刻しそうだったから朝何にも食べてないんだ、どうせ学校行かなくていいんでしょ?」
男「まあ、そうだけど・・・じゃあとりあえず行くか・・・しかしこの時代マクドナルドはまだ無かったはずだな・・・そうだ!昔よく通った歌舞伎町のスカラ座に行くか!」
暗転
二人はボックス席に向かい合わせに座っている
由紀子「マックじゃないじゃん!あたしポテト食べたかったのに!」
男「ケーキあるよ、確かナポリタンもあったと思うんだが・・・」
由紀子「ナポリタンって・・・昭和じゃん!」
男「昭和のどこが悪い!・・・まったく、由紀子ってこんな我侭な女だったのかな?」
店員がやってくる
男「ブレンドとナポリタン」
由紀子「あたしはサンドイッチとアールグレー」
首を振る店員
由紀子「アールグレー無いの?えっ?リプトンしかない、なにそれダサい!」仕方ないからそれでいいわ、さっさと持ってきてよ」
店員が去って行くと、由紀子はカバンからタバコを取り出した
男「タバコ吸うのか?」
由紀子「えっダメなの?だって周りみんな吸ってるじゃん、ここ喫煙コーナーなんでしょ?」
男「いや・・・そうじゃなくて、由紀子はまだ高校生だろ?タバコ吸っちゃいけないんじゃないか?」
由紀子「あのさ、さっきから由紀子由紀子って、馴れ馴れしいんだけど、火ある?」
男は由紀子の手からタバコをむしり取った
男「この時代は高校生がタバコ吸うと刑務所に入れられるんだ!やめなさい!」
由紀子「え〜〜〜マジ!刑務所はヤバイじゃん、仕方ないな・・・」
男にスポットライト
男「早く作戦を決行しなくては・・・」
頭を抱える男
つづく